【目次】
- 少額減価償却資産の特例とは?中小企業の設備投資に役立つ制度を解説
1-1. 少額減価償却資産の特例の基本ルール
1-2. 対象となる中小企業者の要件
1-3. 年間300万円上限など適用時の注意点
- 【2026年税制改正】少額減価償却資産の特例の見直し内容
2-1. 取得価額30万円未満から40万円未満へ引き上げ
2-2. 従業員400人超企業の除外
2-3. 特例の適用期限の延長
- 一括償却資産・通常償却との違いを比較
3-1. 少額減価償却資産との違い
3-2. 一括償却資産との使い分け
3-3. 償却資産税との関係
- 中小企業・創業企業が活用する際のポイント
4-1. 創業期の設備投資で活用できるケース
4-2. パソコン・複合機・備品など具体例で解説
- 少額減価償却資産特例を活用した節税戦略
5-1. 設備投資タイミングの判断
5-2. 一括償却資産との節税比較
5-3. 中小企業が制度を活用する際の実務ポイント
- 少額減価償却資産の特例とは?中小企業の設備投資に役立つ制度を解説
1-1. 少額減価償却資産の特例の基本ルール
事業を行ううえで、パソコンや複合機、業務用機械、工具、備品などの設備を購入する場面は多くあります。通常、このような固定資産は「減価償却」という方法で数年に分けて経費化する必要があります。しかし、中小企業の設備投資を促進する目的で設けられている制度が「少額減価償却資産の特例」です。
この制度は、一定の条件を満たす中小企業者が取得した資産について、取得価額30万円未満の資産をその年の経費(損金)として全額計上できるというものです。通常であれば数年間かけて償却する資産であっても、この特例を使えば購入した年に一括で経費化できるため、資金繰りや節税に大きく寄与します。
例えば、会社設立直後や事業拡大のタイミングでは、パソコン、会計ソフト、POSレジ、プリンター、机や椅子など多くの設備投資が必要になります。こうした資産が30万円未満であれば、この特例を活用することでその年の利益を圧縮することが可能になります。
特に創業期の企業にとっては、売上がまだ安定していない中で設備投資が集中するケースも多くあります。そのため、この制度を理解しておくことで設備投資と節税を同時に進めることができる点が大きなメリットです。
会社設立や創業融資のご相談をいただく際には、この制度を活用した設備投資計画についてご説明することがよくあります。創業期から資金繰りまでフルサポートするうえでも、非常に重要な制度といえるでしょう。
1-2. 対象となる中小企業者の要件
少額減価償却資産の特例は、すべての法人が利用できるわけではありません。対象となるのは、一定規模以下の中小企業者に限定されています。
主な対象は次のとおりです。
・資本金または出資金が1億円以下の法人
・青色申告を行っている法人
・個人事業主(青色申告者)
ただし、大企業の子会社などの場合は適用対象外となるケースもあります。また、適用を受けるためには確定申告の際に明細書を添付する必要があります(法人と個人事業で取り扱いが異なります)。
このような条件はありますが、一般的な中小企業であれば多くの場合利用できる制度です。
福山起業サポートオフィスでは、創業期の企業や個人事業主の法人化をご検討されている方から、
「パソコンは経費になるのか」
「設備投資をするなら今年がいいのか」
といったご相談をよくいただきます。制度の内容を理解しておくことで、設備投資の判断がしやすくなるため、経営者の方にはぜひ知っておいていただきたい制度です。
1-3. 年間300万円上限など適用時の注意点
少額減価償却資産の特例にはいくつかの重要な注意点があります。
まず、年間300万円までという上限があります。つまり、30万円未満の資産を複数購入した場合でも、合計額が300万円を超える部分については特例の対象にはなりません。
また、対象となるのは事業で使用する資産です。貸付用資産などは対象外となる場合があります。
さらに、見落とされやすいポイントとして、償却資産税との関係があります。少額減価償却資産の特例で全額経費にしたとしても、地方税である償却資産税の対象になる場合があります。そのため、固定資産台帳の管理は引き続き必要です。
税務上は経費として処理できても、地方税の申告では資産として扱う必要があるため、実務では注意が必要です。
クラウド会計を活用している場合でも、資産の登録方法によっては処理が異なるため、専門家の確認を受けながら進めることが安心です。クラウド会計の専門家集団として、こうした実務面のサポートも行っています。
- 【2026年税制改正】少額減価償却資産の特例の見直し内容
2-1. 取得価額30万円未満から40万円未満へ引き上げ
令和8年度税制改正では、この制度の見直しが検討されています。
現在の制度では「30万円未満」が対象ですが、改正案では40万円未満へ引き上げる方向が示されています。
もしこの改正が実施されれば、これまで対象外だった資産の一部が特例の対象になる可能性があります。例えば、
・高性能パソコン
・業務用プリンター
・小型の機械設備
など、30万円を少し超える価格帯の設備が対象になることが想定されます。
中小企業にとっては設備投資の幅が広がるため、非常に大きな変更といえるでしょう。
2-2. 従業員400人超企業の除外
今回の改正では、制度の対象範囲の見直しも検討されています。
具体的には、従業員400人を超える企業は対象外とする方向です。
2-3. 特例の適用期限の延長
少額減価償却資産の特例は、もともと時限措置として設けられています。
今回の税制改正では、制度の適用期限をさらに3年間(R11年3月31日(予定)まで)延長する方向で検討されています。
中小企業の設備投資を後押しする制度として、今後もしばらく活用できる可能性が高いと考えられます。
- 一括償却資産・通常償却との違いを比較
3-1. 少額減価償却資産との違い
税務上、「金額が大きくない資産」の処理方法はいくつか存在します。
主なものは次の3つです。
・10万円未満 → 全額経費
・20万円未満 → 一括償却資産
・30万円未満 → 少額減価償却資産特例
それぞれ制度の内容が異なるため、適切な方法を選択することが重要です。
3-2. 一括償却資産との使い分け
一括償却資産は、取得価額20万円未満の資産を3年間で均等償却する制度です。
一方、少額減価償却資産の特例は、購入した年に全額経費化できるという特徴があります。
利益が出ている年であれば、少額減価償却資産の特例を利用することで節税効果が高くなります。一方で、利益が少ない場合には一括償却資産を選択するケースもあります。
経営状況によって最適な方法は変わるため、決算見込みを踏まえた判断が重要です。
3-3. 償却資産税との関係
先ほど触れたように、税務上の処理と地方税の扱いは異なります。
少額減価償却資産の特例で経費化した資産でも、償却資産税の申告対象になる場合があります。
そのため、
・固定資産台帳の管理
・償却資産申告
・取得価額の把握
などの実務は引き続き必要になります。
- 中小企業・創業企業が活用する際のポイント
4-1. 創業期の設備投資で活用できるケース
会社設立直後は設備投資が集中することが多いです。
例えば、
・パソコン
・複合機
・会計ソフト
・事務机
・椅子
など、事務所の立ち上げには多くの備品が必要になります。
こうした設備を少額減価償却資産の特例で処理することで、初年度の利益を圧縮し資金繰りを安定させることができます。
4-2. パソコン・複合機・備品など具体例で解説
実際の相談で多い設備としては次のようなものがあります。
・ノートパソコン
・デスクトップPC
・業務用プリンター
・POSレジ
・防犯カメラ
・店舗設備
これらの設備は30万円未満であることも多く、制度を活用しやすい資産です。
- 少額減価償却資産特例を活用した節税戦略
5-1. 設備投資タイミングの判断
設備投資は、購入するタイミングによって税務効果が変わります。
利益が出ている年度に設備投資を行うことで、節税効果を高めることができます。
5-2. 一括償却資産との節税比較
企業の利益状況によっては、一括償却資産の方が有利になるケースもあります。
例えば、利益が少ない年度に全額経費にしてしまうと節税効果が薄くなる場合があります。
このような場合には、3年間で均等償却する一括償却資産を選択することも検討します。
5-3. 中小企業が制度を活用する際の実務ポイント
制度を活用する際には、
・年間300万円の上限
・償却資産税
・固定資産台帳管理
などを整理しておくことが重要です。
税務処理はもちろん、資金繰りや設備投資計画を含めた総合的な判断が必要になります。
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