「年収の壁」を徹底解説|103万・106万・130万・150万の違いと企業・従業員の最適な対応策
- 年収の壁とは?制度の全体像と最新動向(比較・解説)
年収の壁とは、主にパート・アルバイトの方が直面する「一定の年収を超えると、税金や社会保険の負担が発生するため、手取りが減ってしまう」ラインのことを指します。
特に中小企業では、この“年収の壁”によって勤務シフトの調整が必要になったり、人材確保が難しくなったりするケースが増えています。
福山市や備後エリアの企業でも、「130万円を超えそうなので勤務を減らしてほしい」「106万円の基準を意識しているため扶養を外れたくない」などの声が頻繁に寄せられます。
制度の正しい理解は経営者だけでなく、働く従業員にとっても非常に重要です。
ここではまず、年収の壁の全体像を整理し、2025年の最新情報を含めて解説します。
1-1. 年収103万・106万・130万円・150万円の壁の違いを徹底比較
年収の壁には複数が存在し、それぞれ意味や影響が異なります。もっとも誤解が多く、実務でも相談が多い4つの壁について整理します。
- 103万円の壁(所得税)
- パート・アルバイトの給与収入が 103万円以下 の場合、所得税は発生しません。
- 扶養控除の「対象かどうか」を判断する基準でもあり、多くの家庭が意識する基準です。
- 106万円の壁(社会保険:従業員500人超ほか一定企業)
- 年収 106万円以上 になると、一定の条件を満たす場合に社会保険加入義務が発生します。
- 勤務時間・勤務日数が正社員の3/4以上でなくても加入対象となる点が特徴。
- 中小企業でも「労使合意」がある場合は適用されるケースがあります。
- 130万円の壁(社会保険:扶養)
- 年収が 130万円未満 であれば、夫(妻等)の社会保険の扶養に入ることができ、保険料負担はゼロ。
- 130万円を超えると社会保険料の自己負担が生じるため、手取りが大きく減り、就業調整が発生しやすい壁です。
- 150万円の壁(配偶者特別控除)
- 配偶者の年収が 150万円以下 であれば、配偶者控除に近い控除が受けられます。
- 税金面では優遇が続くため働きやすいラインですが、社会保険とは別制度であるため混同されがちです。
これらの壁はすべてが連動しているわけではなく、税金/社会保険/扶養の制度が異なる基準で動いている点がポイントです。
1-2. 2025年の制度改正と「年収の壁・支援制度」のポイント解説
2024年から2025年にかけて、政府は人手不足対策として「年収の壁対策」を強化しています。
特に106万円の壁を意識せず働けるよう、事業主に一定の補助を行う制度が注目されています。
- 年収の壁支援強化パッケージ(2025年も継続)
- 106万円を超えて社会保険に加入した場合、
事業主が一時的に手当を支給すると、その手当の一部を国が補助 - 従業員が手取り減少を理由に就業調整しないようにする狙いがあります。
- 社会保険加入の適用拡大(段階的に進行)
- 小規模企業でも、条件次第で対象となりうるケースが増加
- 福山市内の企業でも、労使合意により任意適用を進める企業が出てきています。
1-3. インボイス制度・電子帳簿保存法との関連性
一見関係がなさそうに見えますが、実務上は関連が強いポイントがあります。
- インボイス制度との関係性
- 副業で個人事業を行っているパート・アルバイトが増えており、売上が年間100万円を超える場合もあります。
- 副業の売上によって「扶養判定に影響」することがあるため、年収の壁と同時に管理が必要です。
- 電子帳簿保存法との関連
- 企業側の経理体制整備の遅れにより、給与計算や副業収入の把握が遅れるケースが発生。
- クラウド会計・給与システムを導入する企業が増えており、当事務所でも導入支援が増加しています。
- 従業員が知るべき「いくらまで働けるか」早見表と働き方シミュレーション
従業員から最も多い質問は
「結局、いくらまで働くと損になるのか?」
という点です。
年収の壁は単純な「損・得」で判断できないため、企業側も丁寧に説明できる体制が必要です。
2-1. 扶養内で働く場合の注意点(税金・社会保険)
扶養内で働きたい方が押さえておくべきポイントは以下です。
- 税金の扶養(103万円)は「本人の所得」で判定
- 社保の扶養(130万円)は「見込み年収」で判定
- 副業や一時的な収入も合算される
- 年末だけ勤務シフト増加→130万円超えのケースも多い
- 106万円の壁は企業側の規模や働き方によって変動
特に注意すべきは **「130万円は12か月の見込み」**で判断される点です。
一時的に月収が高い月があっただけで扶養から外れるリスクがあります。
2-2. パート・アルバイトがやりがちな就業調整の落とし穴
就業調整は本人にとっても会社にとってもデメリットが大きくなります。
- 会社側の人手不足が深刻化
- 経験者・熟練スタッフが出勤できず生産性低下
- 従業員本人も年間で見ると手取り減
- 有給休暇取得に影響(要件未達)
福山市の中小企業でも「繁忙期だけシフトを増やしたいのに“壁が怖い”と言われる」との相談が増えています。
2-3. 103万/106万/130万円を超えた場合の影響(計算付き)
年収の壁を超えるとどうなるのか、一般的なケースとして影響を簡易的にまとめます。
- 103万円を超えると?
- 所得税が発生(年間で数千円〜)
- 扶養控除は配偶者側の税額計算に影響
→ ただし手取りはほぼ大きく減らない
- 106万円を超えると?
- 社会保険料の負担が発生
- 月1〜1.5万円程度の負担増がある場合も
→ 手取りは一時的に減るが、将来の年金が増えるメリットも
- 130万円を超えると?
- 社会保険の扶養から外れる
- 保険料は月1.5〜2万円程度の負担増
- 手取りは10〜20万円単位で減るケースあり
この計算を正しく行うには、給与明細・副業収入・賞与を含めた総収入の把握が必要であり、クラウド会計システムの連携が非常に有効です。
- 中小企業が取るべき実務対応|労務・税務・助成金の視点から(調査・解説)
中小企業にとって「年収の壁」は単なる制度ではなく、人材戦略の核心です。
特に創業期企業や小規模事業者では、1人のパート従業員の調整が売上に直結することも珍しくありません。
3-1. 企業側の実務リスク:シフト調整・人手不足・社会保険加入義務
中小企業が抱えるリスクは次のとおりです。
- ①人手不足リスク
就業調整で働ける時間が減ると、繁忙期の業務が回らなくなるケースが多発。
- ②社会保険加入義務の判断ミス
106万円/130万円の判定基準を誤ると、遡及加入や指導の対象となる可能性があります。
- ③給与設計の複雑化
複数の壁を意識することで、会社がシフトを柔軟に組めなくなり、経営効率が低下。
税理士事務所である当事務所でも「従業員の収入管理をどうすべきか?」という相談は毎年増加しています。
3-2. 「年収の壁・支援強化パッケージ」の活用法(106万円の壁)
106万円の壁対策として政府が進める制度が「年収の壁・支援強化パッケージ」です。
- 制度のポイント
- 従業員の手取り減少を補う目的で企業が手当を支給
- その手当を国が補助
- 企業負担の軽減になり、従業員の働き控えを防ぐ仕組み
- 中小企業が活用するメリット
- 優秀なパート従業員を手放さずに済む
- 労務リスクの低減
- 経営の安定化につながる
福山起業サポートオフィスでは、制度の申請から給与設計の見直しまで一貫してサポートしています。
3-3. 人材確保につながる雇用戦略:会社設立・クラウド会計・給与設計
創業期の企業こそ、年収の壁の影響を強く受けます。
- 会社設立・法人化診断との関連
- 従業員が増えると社会保険加入義務が変わる
- 法人化により労務管理が明確化し、求人の強化にもつながる
- 創業融資で運転資金を確保すると、従業員の雇用を安定させやすい
- クラウド会計・給与計算導入の重要性
- 従業員ごとの収入を即時に把握
- 「130万超えそう」などの早期警告
- 経営者の意思決定がスムーズに
当事務所は「クラウド会計の専門家集団」として、freee・マネーフォワードを活用した給与計算体制の構築も対応しています。

